患者だより

第15回 患者と主治医との相性 どんな医師とどんな治療をしていきたいですか |2016.11.09掲載

がん治療は日進月歩の感がありますが、治療を手掛ける医療機関の対応も時代とともに変化しています。

ひと昔前は、抗がん剤治療や放射線治療の予約の際に、「仕事の都合で来院が難しいので予約日時を変更していただけますか」と言おうものなら、受付の表情が変わり、渋々と「では、このスケジュールはいかがですか?」と返答されることがありました。(患者の分際で治療が最優先ではないのか)という心の声が聞こえてくるようでした。がん患者の就労を難しくさせているのは、勤務先の理解や受け入れ態勢、治療による副作用、そうしたものだけではなく、医療機関の患者に対する考え方にもあるのではないかと思ったものでした。地域や病院による違いはあるかもしれませんが、私が現在通院している病院では、ここ数年、そのような対応や態度をされなくなりました。

ところで、あなた自身、または大切な人ががんに罹患したとき、どんな医師が主治医ならば、あきらめずに治療を続けられると思いますか。

  1. 丁寧に説明した上で、医師自身が普段から行なっている手術法や治療法を断固薦める
  2. 基本は1だが、患者が自分で調べてきた治療法に関する意見交換にも応じ、基本の治療に加えることも認める
  3. 説明も患者との意見交換も丁寧で、それぞれの治療のメリット・デメリットに意見し、最後は患者に選ばせる
  4. 基本は3だが、患者の意思を確認しながら最後は医師が治療法を決定する。

私は現在、乳がんの原発病変を摘出した大学病院で、化学療法、脳転移の手術後の経過観察、がんを併発しやすい部位の検診など、すべてを行なっています。初発から既に12年経過し、病気および病院と長い付き合いです。

今までに出会った医師を思い浮かべると、上記1~4のどのタイプもいらっしゃいました。患者さんによっては、自分が最初に出会ったがん治療医の態度に不満だったと言う方もいます。医師も患者も人間ですので、人間同士の相性があると思います。私は3のタイプのコミュニケーションを望んでおり、私のこのスタンスを医師にも伝えるようにしています。

化学療法を実施する前には、毎回採血を実施し、白血球、特にリンパ球のデータを確認して、抗がん剤投与が可能かどうかを判断しています。ある時、化学療法前の診察で、乳腺外科の主治医が私にこう言いました。

  • 「白血球も上がりデータも安定しているので、タキソール®(※1)の投与スケジュールを本来の投与間隔である隔週に戻すか、あるいは薬剤の量を本来の投与量まで引き上げるか、してみましょう。」

私のリンパ球データが高値で安定しているのは、樹状細胞療法をはじめとする免疫療法のお蔭でもあると個人的には感じています。本来の化学療法の効果を出すためには、投与間隔も用量も標準的に推奨されるレベルに引き上げる必要があります。しかし、抗がん剤治療の薬剤を増量したり投与間隔を狭めたりすると、またリンパ球が下がるだろうと思っています。私は、医師に言いました。

  • 「投与を隔週に縮めて白血球が戻るか自信がありませんが、一回の投与量を増やす方が辛いであろうと思います。ほかの選択肢はありますか?」
  • 「現在のところ、細胞障害性抗がん剤でタキサン系薬剤の効果を超えるものは開発されないと言われています。タキソール®以外では、最近、薬価収載されたハラヴェン®(※2)を単剤で使用することもできます。こちらは副作用が少ないとされていますが、血液毒性は高いようです。タキサン系薬剤から切り替えるなら、時期を考慮していかないといけません。」
  • 「分かりました。ひとつずつ検討したいので、まずは今の薬で量を変えずに隔週で投与するということでお願いします。」
  • 「では、標準量の70%である現在の用量のままで、投与期間を縮めて隔週にしてみましょう。」

このように、医師と十分に意見を交換した上で患者である自分が治療法を決めることで、私は納得感を得られます。

医師であっても、専門領域や経験によって知識や情報、判断基準に差があります。それぞれの先生方が持っている情報や考え方を整理し、自分自身の意見を先生方に伝えながらともに治療法を検討し、最後には私の意向に合った形で診療を進めていただくことで、治療に後悔なく10年以上がんサバイバーとして生きているような気がしています。

誰にでも、コミュニケーションの取り方の癖があります。がん(または大きな病気)になる前に、自分はどんなタイプの医師となら付き合っていけるかを想定しておくことも、より良い治療生活を送るために大切だと思います。

※1:一般名パクリタキセル、タキサン系細胞障害性抗がん剤の一種
※2:一般名エリブリンメシル酸塩

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