患者だより

第9回 がんと治療費のお話【1】 社会保障制度で自己負担を減らすには |2016.08.17掲載

ご自身やご家族が高額の治療を経験していても、医療費にまつわる社会制度を知らないという方が多いようです。ここで、医療費を補助する社会保障の仕組みについてご紹介します。

  1. 公的保険が適用される医療を受ける場合は、月あたりの支払い額(患者負担)に上限がある(高額療養費制度)
  2. 先進医療など公的保険が適用されない治療は自費であるが、申告で所得税が戻る(確定申告による医療費控除)

1. 公的保険が適用される医療を受ける場合は、月あたりの支払い額(患者負担)に上限がある

日本には国民皆保険制度があり、すべての国民が公的な医療保険に加入できます。保険診療(公的保険が適用される医療)を受ける場合、患者は保険の種類と年齢に応じて診療費の1~3割を自己負担します。

入院・手術・抗がん剤治療などで高額な医療費がかかりそうなときは、治療を受ける前に加入している公的医療保険で「限度額適用認定証」をもらい、医療機関に提出します。こうすることによって、窓口での支払いを、支払い限度額までに抑えることができます。

限度額適用認定証をもらわずに治療を受けた場合は、医療機関から請求される医療費を一度支払った後、保険組合に申請することで、2~3カ月後に自己負担額を超えた部分が戻ってきます。

支払いの上限額は、収入によって違ってきます。ご自分の年収または健康保険書類にある標準報酬月額と照らし合わせて計算してみましょう。計算の方法は、以下のサイトで詳しく説明されています。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030

限度額の計算方法の例:70歳未満で総医療費100万円、自己負担(3割)30万円の場合
区分 所得状況 月単位の上限額 12ヶ月の間で
4回目の月以降
年収約1,160万円以上 / 健保:標準報酬月額83万円以上 / 国保:旧ただし書き所得901万円超 252,600円+(医療費-842,000円)x1% 140,100円
年収約770-1,160万円以上 / 健保:標準報酬月額53-79万円以上 / 国保:旧ただし書き所得600-901万円超 167,400円+(医療費-558,000円)x1% 93,000円
年収約370-770万円以上 / 健保:標準報酬月額28-50万円以上 / 国保:旧ただし書き所得210-600万円超 80,100円+(医療費-267,000円)x1% 44,400円
年収約370万円以下 / 健保:標準報酬月額26万円以下 /  国保:旧ただし書き所得210万円以下 57,600円 44,400円
低所得者(市区町村税非課税) 35,400円 24,600円
  • 限度額適用認定証は申請した日の月初めの1日から有効です
  • 世帯(被保険者とその被扶養者)で複数の人が同じ月に病気やけがをして医療機関で受診した場合や、一人で複数の医療機関を受診した、または一つの医療機関を入院と外来で受診した場合は、自己負担額は世帯で合算することができ、その合算した額が自己負担限度額を超えた場合は、超えた額が払い戻されます。ただし、70歳未満の人の合算できる自己負担額は、21,000円以上のものに限られます。(計算は1日~月末の月ごと / 同じ医療機関ごと / 外来通院と入院があった場合は別々に計算)

なお、高額療養費制度と高額介護・高額介護予防サービス費の両方を利用した人で合算した総額が8月1日からの1年間で一定額を超えた場合は、払い戻しをうけることができます。詳しくは以下をご覧ください。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31709/1945-268

また、加盟する健康保険組合によっては、付加給付金や一部負担還元金という名称の「付加金」が追加払い戻しされることもあります。

私は月2回の化学療法に加えて、画像検査や他科の診察もときどき受けているため、3割負担で支払額が毎月17万円を越えます。しかし、高額療養費と一部負担還元金を受け取ると、実際の月あたりの医療負担費用は4万円弱となります。

2. 先進医療など公的保険が適用されない治療は自費であるが、申告で所得税が戻る
(確定申告による医療費控除)

保険診療外の治療(先進医療や自由診療など)を受ける場合は、公費給付がありません(※1)。ですが、一定の収入のある人が決まった額以上の医療費や介護費用などを自己負担した場合には、申告することによって所得控除を受けられます。

対象となる医療費

対象の一部を挙げます。1月1日から12月31日までの1年間に自己負担した医療費で、保険診療の自己負担部分にとどまらず、前述の高額療養費制度で対象にならない差額ベッド代や、自由診療のものも含まれます。

  • 医師や歯科医師による診療費
  • 通院にかかった交通費(駐車料金やガソリン代を除く)
  • 入院時の部屋代や食事代
  • 医療機器の購入やレンタルにかかった費用
  • おむつ代(医師の証明が必要)
  • 治療目的でのマッサージなどの施術代
  • くすり代(市販薬も含む)

確定申告時に「医療費控除」の対象となる金額は、以下の(1の金額)-(2の金額)-(3の金額)-(4の金額)で算出され、200万円が上限です。1年間の支払い額が200万円を超えないように調整できると、戻ってくる税金が最大になります。

  1. 自分が支払った医療費の総額(<対象となる医療費>の項に記載したような費用の合計額)
  2. 健康保険組合から返金された高額療養費と付加金
  3. 患者が加入している民間の医療保険から支払われた保険金
  4. 10万円 (総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5%)

戻ってくる金額は、収入や税率によって違ってきます(※2)。例えば、所得額が500万円で、扶養家族が配偶者1名の場合を考えてみましょう。給与から差し引かれる金額が社会保険料控除の150万円と基礎控除の76万円(38万円×2名分)だけの人は、課税される所得金額は500-150-76=274万円になり、所得税率は10%なので所得税は27万4千円です。

しかし、この人が医療費控除として200万円を申請すると、課税される所得金額は500-150-76-200=74万円で、所得税率も5%に変わって、所得税は3万7千円になります。

よって、所得税額の差分23万7千円が還付されます。

医療費控除は給与所得者も確定申告で自ら行う必要がありますが、このように一度賦課された所得税と実際の所得税の差分が戻ってきますので、受けた治療が保険診療、自由診療にかかわらず、すべての領収証・家計簿をもとに計算してみてください。確定申告でお金が戻ってくる場合は過去5年にさかのぼっていつでも申告できますが、納税額が多くなる場合は対象年度の確定申告時期に申告しないと延滞税が課されるため、注意が必要です。

※1
保険診療と自由診療をひとつの病院で同日に受ける混合診療は、先進医療を除き、基本的にできません。例えば、インフルエンザ予防接種(自由診療)を受ける日に、同じ病院で抗がん剤の点滴を受ける(保険診療)、といったことは混合診療にあたるので、予防接種だけ別の日に受けに来てください、といわれるでしょう。なお、保険診療には消費税は発生しませんが、自由診療には消費税が発生します。

※2
還元される税額は、申告する人の以下<ア>、<イ>の状況によって異なります。

<ア> 収入(お給料や年金や不動産賃貸収入や株売買など)の総額
<イ> 控除できる金額と種類(社会保険料や医療費控除額、雑損(盗難損失額)や寄付金など)

詳細は、税務署または税理士に情報開示のうえ、ご相談ください。
<ア>から<イ>を引いた差額に応じた税率の基本がこちらのサイトにでています。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm

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