膵臓(すいぞう)

膵臓(すいぞう)がんの治療法

手術療法

膵臓がんを切除する手術療法は、完治が期待できる唯一の治療法です。がんが膵臓の中にとどまっていて、転移や周囲の血管への浸潤がないケースでは、手術でがん病巣を完全に摘出できます。

手術の術式としては、「膵頭十二指腸切除術」、「膵体尾部切除術」、「膵全摘術」などがあり、がんの部位や広がりによって最適の方法が選択されます。

膵頭十二指腸切除術

がんが膵頭部にある場合に行われる方法で、十二指腸、胆管、胆のうを含めて膵頭部(図1の灰色の部分)を取り除きます。切除後は、残った膵臓を小腸につなぎ、すい液が小腸に流れ込むようにします(図2)。腹部外科領域ではもっとも大きな手術で、入院期間も約3週間と長くなります。

 

(日本膵臓学会・膵臓がん診療ガイドライン改訂委員会編「患者さんのための膵臓がん診療ガイドラインの解説」2015、金原出版)
膵体尾部切除術

がんが膵体部や膵尾部にできている場合に行われます。膵体部、膵尾部だけでなく、隣接する脾臓も同時に切除しますが、膵頭部が残るので、膵液は十二指腸へ正常に流れます。膵頭十二指腸切除術に比べると、比較的侵襲の少ない手術です。

膵全摘術

膵臓のすべてと、脾臓、十二指腸、胃の一部を摘出する方法で、膵臓の中に、小さながんが広がっている場合に選択されます。膵臓全部が切除されるため、インスリンや消化酵素を分泌する機能が失われます。とくに、血糖値をコントロールするためのインスリン注射がいつも必要となり、患者さんの負担は大きくなります。このため最近は、膵臓を少しでも残す方法が多く選ばれます。

化学療法(抗がん剤治療)

膵臓がんでは、がんを切除できる可能性があれば、手術を行います。しかし、がんが周辺に広がっていたり、肝臓や脳など離れた臓器に転移して、手術でがんを取り除くことができなかったりする場合には、化学療法が選択されます。

この治療の目的は、がん細胞の増殖を抑え、がんの進行、再発、転移を防ぐことです。膵臓がんは早期発見が難しく、患者さんの多くは切除不能な進行がんの状態で見つかるため、膵臓がんの治療において化学療法は重要な役割を担っているといえます。

現在、膵臓がんに対して有効性が認められ、用いられている化学療法剤は、「ゲムシタビン塩酸塩(GEM:商品名 ジェムザ-ル,ゲムシタビン)」、「TS-1(商品名ティーエスワン)」、「エルロチニブ塩酸塩(分子標的薬、商品名タルセバ)」などです。他剤併用療法にはFOLFIRINOX療法などがあります。

ゲムシタビン塩酸塩は、進行・再発膵臓がんに対して、延命効果が証明された初めての抗がん剤です。切除不能な進行膵臓がんの患者さんを対象とした北米の臨床試験で、5-FU(フルオロウラシル)という既存の薬を投与した場合、の1年生存率が2%だったのに対し、ゲムシタビン塩酸塩は18%と有意に優れていることがわかりました(Burris H.et al:J Clin Oncol 15:2403-2413,1997)。この薬は、週に1回、30分程度の点滴治療で済むため、患者さんは入院せずに、通院で治療を受けることも可能です。

TS-1はもともと胃がんなどで治療が認められていた抗がん剤ですが、2006年に膵臓がんにも適応が拡大されました。点滴ではなく飲み薬(内服薬)です。

エルロチニブも内服薬で、がん細胞の分裂に関与している物質(上皮成長因子受容体;EGFR)の働きを抑える、分子標的薬というタイプの新しい薬です。ゲムシタビン塩酸塩と併用すると、ゲムシタビン塩酸塩だけで治療するよりも生存期間が延びることが明らかになっています(Moore MJ, et al: Clin Oncol 25:1960-1966,2007)。

こうした化学療法は、主に切除できない進行した膵臓がんの治療として選択されますが、最近は、手術の前にがんを小さくしたり、手術後に再発や転移を防いだりするために投与することも多くなっています。

化学療法でもっとも懸念されるのは副作用です。副作用は、抗がん剤の種類により異なりますし、組み合わせによっては、単独で使用するときよりも強くなることがあります。

抗がん剤で広くみられる副作用は、吐き気、嘔吐、下痢、口内炎、脱毛、骨髄抑制(白血球や血小板を作る骨髄が障害される)などです。こうした副作用には、抗がん剤の使用量を減らしたり、使用する時期を延期したりします。

放射線療法

手術療法、化学療法と並ぶ、膵臓がん治療のもう1つの柱が放射線療法です。高エネルギーの放射線を患部に当て、がんの進行を止めるのが目的です。

肝臓や肺など遠く離れた臓器への転移はないものの、がんが膵臓の周りの主要な血管を巻き込んでいて、手術できないケース(局所進行切除不能膵臓がん)に実施されます。

方法としては、1日1回、5~6週間かけて、高エネルギーのX線を体の外から照射する「外部照射」が一般的です。最近は、通院して外来で行うことも多くなっています。

化学療法と組み合わせることで放射線療法の効果を高めることが期待できるため、患者さんの全身状態が良好な場合には、外部照射に抗がん剤投与を併用します。これは「化学放射線療法」と呼ばれ、現在の標準治療となっています。

放射線療法では、吐き気、嘔吐、食欲不振、皮膚炎、下痢などの副作用が起こる可能性があります。また、化学療法と併用したときには、白血球や血小板が減少することもあります。こうした副作用の現れ方には個人差があり、強めに出る人、ほとんど出ない人がいますが、通常治療終了後、2~4週間で改善します。

主な参考資料

  • 日本膵臓学会:膵臓がん診療ガイドライン2013、金原出版
  • 日本膵臓学会・膵臓がん診療ガイドライン改訂委員会編「膵臓がん診療ガイドラインの解説」2015、金原出版
  • 日本膵臓学会膵臓がん登録委員会:膵臓がん登録報告2007.膵臓:2007
  • 国立がん研究センターがん情報サービス:それぞれのがんの解説「すい臓がん」
  • 日本膵臓学会編:膵臓がん取扱い規約 2013、金原出版
  • 愛知県がんセンター中央病院Hp.「がんの知識-いろいろながん―すい臓がん」

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