肺がんの治療

手術療法

手術療法は、肺がんを取り除き、根本的な治癒(ちゆ)をめざす治療法です。「肺葉切除」、「縮小手術」、「胸腔鏡下手術」などの方法があり、どれを選択するかはがんの大きさ、広がり、位置などによって決まります

肺葉切除

手術のもっともスタンダードな方法です。がんが発生したブロック(肺葉)とその周辺のリンパ節を取り除き、肺がんの治癒を目指します。

肺は1つのかたまりではなく、右肺は上葉、中葉、下葉の3つに、左肺は上葉、下葉の2つに分かれています。1つのブロックを切除すると肺活量が2~3割低下しますが、他の部分が機能を代替し、1年ほどたつと手術前と同じぐらいまで回復するので、生活に大きな支障はありません。

また、がんと一緒に周辺のリンパ節を切除しますが、これはリンパ管を通ってがん細胞が転移しやすいためです。

肺葉切除の方法や切除する範囲は、これまでに蓄積されてきた臨床例の解析や臨床試験などの結果から、国際的にコンセンサスが得られています。したがって、細かい点を除けば、どこの医療機関でもほぼ同様の手術が受けられます。

縮小手術

切除する範囲をできるだけ小さくし、肺の機能を温存しようという方法です。2cm以下の小さな肺がんが対象で、診断や治療技術の進歩に伴い、縮小手術が手術全体に占める割合も増えてきました。

切り取る範囲が少ないため、肺葉切除に比べ手術の負担が軽く、肺機能への影響も少ないのが利点です。このため、がんが2cm以上でも、肺機能が低下している患者さんや高齢の患者さんに行われることがあります。ただし、標準治療ではないので、すべての病院が実施しているわけではありません。

胸腔鏡下手術

肺がんの手術には、胸をメスで切り開く「開胸手術」と内視鏡の1つである胸腔鏡というカメラを使って行う「胸腔鏡手術」の2つの方法があります。

縮小手術の多くは、胸腔鏡を用いて行われます。胸やわきの下を3~7cmほど切開し、2cmほどの穴を2~4か所ほどあけ、そこから内視鏡を挿入して胸の内部を撮影し、モニターで映像を見ながら、手術するという方法です。

胸腔鏡手術は切開する範囲が小さいので、患者さんの身体への負担が少なく、数日の入院で済みます。また、がんとその周辺を切り取るだけなので、肺の機能をほとんど損ないません。しかし、モニターを見ながら手術するので高度の技術が必要ですし、モニターに映る部分が少ないため、十分にリンパ節を切除できないことがあります。ですから、この手術は、リンパ節転移のないⅠ期の患者さんだけに行われます。リンパ節転移のあるⅡ期以降の患者には、開胸手術が適応となります。

放射線治療

放射線治療は、がんに放射線を当て、死滅させる方法です。放射線が当ると、がん細胞の遺伝子が壊れ、分裂・増殖できなくなって、徐々に死んでいきます。

治療に広く用いられているのは「リニアック(直線加速器)」という装置で、そこから発生する高エネルギーX線で、がん細胞をたたきます。1回の治療時間は10~15分ほどです。また、放射線は治療のためだけでなく、肺がんによる痛みなどの症状を緩和したり、脳などへの転移を予防する目的でも利用されます。

放射線治療のメリットは、手術のように開胸したり、肺を切除したりする必要がないので、全身への負担が少ないこと、そして、がん病巣だけをねらい撃ちするため、副作用が限られることです。治療の対象となるのは、小細胞がん、Ⅲ期以降の進行した非小細胞がんですが、体力が低下して手術できない高齢の患者さんなどでは、早期の肺がんでも放射線治療が選択されることもあります。

化学療法(抗がん剤治療)

抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑えて、がんを小さくする目的で用いられます。手術や放射線治療が、限られた部位のがん治療(局所治療)であるのに対し、化学療法は全身への効果が期待できるのが特徴で、注射、点滴、内服などの方法で使われます。投与された抗がん剤は、血液中に入り、血流に乗って全身に運ばれ、転移したがんや、目には見えないもののどこかに潜んでいる可能性のあるがん(潜在的ながん)の治療に大きな力を発揮します。

肺がんの場合、化学療法の適応となるのは、がんが広範囲に広がり手術や放射線治療ができない非小細胞がん(Ⅲ、Ⅳ期)や小細胞がんです。残念ながら現時点では、こうした進行した肺がんを化学療法だけで治すことは困難ですが、がんを縮小させたり、進行を抑えたり、症状を和らげたり、延命に寄与する効果は十分に期待できます。

肺がんに用いる抗がん剤には、プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン、ネダブラチン)と、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、塩酸イリノテカン、TS-1などの第三世代抗がん剤(1990年以降に承認された薬)があります。また最近、従来の抗がん剤とは、メカニズムの異なる「分子標的薬」が登場しています。

肺がんの化学療法では、これらの抗がん剤のうちプラチナ製剤から1剤、第三世代抗がん剤から1剤を組み合わせて使う「2剤併用療法」が基本です。2剤を組み合わせるのは、メカニズムの異なる抗がん剤を使うことで、効果を強めるためです。

どの抗がん剤を選択するかは、肺がんの種類(非小細胞がんか小細胞がんか)、がんの形(組織型)進行度、患者さんの年齢や健康状態によって変わってきます。最近は、遺伝子変異のタイプの判定も重要になっています。

実際の治療では、2剤併用療法を、3~4週間を1コースとし、副作用の出方や効果などをみながら投与量を調整しつつ、4~6回行います。

分子標的薬

「分子標的薬」はがん細胞を狙い撃ちする薬です。従来の抗がん剤は、がん細胞を死滅させたり、小さくさせたりする物質を探し出し、その仕組みを解明するというプロセスを経て、開発されてきました。これに対して分子標的薬は、初めにがんの発生や増殖、転移に関わる特定の分子を見つけ出し、それを狙い撃ちする物質をデザインして薬として開発したものです。攻撃目標を予め定めた上で、開発した薬剤ですから、効率よく治療が行えますし、副作用も少ないと考えられています。

分子標的薬にはいろいろな種類がありますが、肺がんの治療に用いられているのは、ゲフェニチブ(イレッサ)、エルロチニブ(タルセバ)、ベバシズマブ(アバスチン)などです。治療の対象となるのは、非小細胞がんで、がんが進行していて標準的な2剤併用療法では効果が得られなかったり、治療後に再発した患者さんです。

分子標的薬は、これまでの抗がん剤に比べてポテンシャル(潜在能力)が高いとされますが、すべての患者さんに効くわけではありません。たとえば、ゲフェニチブは、がんの増殖や転移に関係の深いEGFR(上皮増殖因子受容体)の遺伝子変異がある患者さんには有効ですが、そうでないケースではあまり効果が期待できません。このため、分子標的薬を始める際には、まず患者さんのがんの遺伝子検査を行うことが手順となっています。

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