樹状細胞ワクチン療法

がんの再発・転移と樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞ワクチン療法の特長のひとつとして、がんの進行の程度(ステージ)にかかわらず治療を行える点が挙げられます。条件が整えば、転移しているがんや再発したがんの治療にも使われます。

アメリカの食品医薬品局(FDA)が承認した樹状細胞ワクチン、シプロイセルT(Sipuleucel-T、商品名:プロベンジProvenge®)は、適応となる疾患が「転移を伴いホルモン療法が有効でない前立腺がん」です。

前立腺がん以外の転移がんや再発がんに樹状細胞ワクチン療法がどの程度の効果を示すのかは、がんの種類や患者さんの状態によって異なると考えられ、研究が続けられています。明確な結論はまだ出ていませんが、研究成果の一部を紹介します。


転移または再発したがんに対する樹状細胞ワクチン療法

2016年に進行肺がんでの治療成績が報告されました(参考資料A)。この論文は、遠隔転移があり手術が受けられない、あるいは手術後に再発した肺がん(小細胞肺がんを除く)の患者さん260名に樹状細胞ワクチン療法を行った結果をまとめたものです(注1)。がんと診断されてからの生存期間は平均33.0カ月、初回ワクチン投与からの生存期間は平均13.8カ月でした。特に、肺がんの中でも肺腺がんの患者さんでは、ある一定の期間にわたって腫瘍が大きくならないことがあり、生存期間も延びる傾向がみられました。また、ワクチン開始から5年を過ぎても23名が存命でした。

進行膵臓(すいぞう)がんに対して抗がん剤治療(ゲムシタビン)と樹状細胞ワクチン療法とを併用し、治療の安全性を確認した研究結果が2015年に報告されています(参考資料B)。対象となった10名のうち、6名は遠隔転移を伴うステージIVの膵臓がん、4名は局所進行性のステージIIIの膵臓がんでした。樹状細胞ワクチンを併用することによってゲムシタビンの副作用が強まることはありませんでした。有効性に関するデータは限定的ですが、腫瘍が消失または縮小した患者さんはいなかったものの、6名ではある一定期間、腫瘍が大きくなりませんでした。このうち2名が転移がんの患者さんで、生存期間は最長530日でした。

再発予防と樹状細胞ワクチン療法

がんの手術後の再発予防に関する研究も行われています。2014年には、肝細胞がんで手術を受けた患者さんのうち、手術後に樹状細胞ワクチン療法を行った方と行わなかった方とを比較した研究結果が報告されました(参考資料C)(注2)。樹状細胞ワクチン療法を行わなかった54名では、再発のなかった期間は12.6カ月(中央値、以下も同じ)、全生存期間は41.0カ月でした。これに対して、樹状細胞ワクチン療法を受けた42名(注3)では、再発のなかった期間は24.5カ月、全生存期間は97.7カ月でした。樹状細胞ワクチン療法を受けた42名中、5年後も存命していた患者さんは18名で、このうち9名では再発もありませんでした。

手術後の再発予防に樹状細胞ワクチンを利用した研究は肺がんでも行われています(参考資料D)。手術後の化学療法に樹状細胞ワクチン療法を併用した50名と併用しなかった51名とを比較したところ、樹状細胞ワクチン療法を併用した群で生存期間が延びるという結果が得られています。樹状細胞ワクチンを併用しなかった患者さんは半数が4年以内に亡くなりましたが、併用した患者さんは半数以上が5年を超えて生存しました。

このように、いくつか有望な結果も出てきていますが、明らかな効果が確認できなかったという論文(参考資料Eほか)も発表されています。再発・転移後の治療については、かかりつけ医や専門の医師と治療方針について十分に相談することが大切です。

注1: 2007~2013年に樹状細胞ワクチン療法(2週間ごとに5回以上)を受けた非小細胞肺がんの患者さんで、他臓器に転移があり手術ができないと診断された179名(ステージIIB~IV)、および手術後に再発した81名(ステージI~IIIB)のデータを解析(レトロスペクティブ研究)。

注2:非ランダム化比較対照試験。すなわち、客観的に治療を割りつけて比べたデータではありません。

注3:術後2カ月以内に3回の樹状細胞ワクチン療法(手術時に切除した患者さん自らの腫瘍をがん抗原として使用して作製)と活性化自己T細胞輸注療法を実施。患者さんの希望に応じて、2ヶ月後以降も同じ治療を継続。

参考資料

  • A. Cancer Immunol Immunother. 2016 Sep;65(9):1099-111
  • B. Cancer Science 2015;106:397–406
  • C. Human Vaccines & Immunotherapeutics 2014;10:970–976
  • D. Cancer Immunology, Immunotherapy 2015;64:51–59
  • E. European Journal of Cancer 2016;64:167-74

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