免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント阻害剤と樹状細胞ワクチン療法との併用

ブレーキをはずす免疫チェックポイント阻害剤、アクセルを踏む樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞ワクチン療法では、WT1などのがん抗原を覚えた樹状細胞が体の中でT細胞にこの目印を教え、活性化したT細胞が目印を持つがん細胞を効率よく攻撃します。しかし、がん細胞には、T細胞の働きを抑える信号を流して、T細胞から攻撃されないようにする仕組みが備わっています。がん細胞が免疫細胞の攻撃から逃れようとするこのメカニズムは、がんの免疫逃避と呼ばれます。

樹状細胞ワクチン療法によってがんに対する免疫力を高めたとしても、がん細胞がブレーキをかけてしまえば免疫が弱まってしまうおそれがあります。樹状細胞ワクチン療法の力をできるだけ引き出すためには、がん細胞がかけたブレーキをはずして、T細胞の攻撃力をふたたび回復させる必要があります。T細胞にかけられたブレーキを解除してくれる薬が、ニボルマブ(商品名:オプジーボ®)やイピリムマブ(商品名:ヤーボイ®)といった免疫チェックポイント阻害剤です。

T細胞の存在は免疫チェックポイント阻害剤の効果を左右する

免疫チェックポイント阻害剤の治療効果はきわめて高いことが明らかになっています。しかし、実際の臨床の現場では、治療を受ける人によって免疫チェックポイント阻害剤の効果に差があります。個人差が生じる理由はいくつかありそうですが、がん病変の中や周辺にがん細胞を攻撃する力の強いT細胞(抗腫瘍T細胞)がどのくらい存在しているかが影響を及ぼす要因のひとつと考えられています。樹状細胞ワクチン療法でT細胞を誘導・活性化することは、免疫チェックポイント阻害剤の効果を高めることにつながる可能性があります。

樹状細胞ワクチン療法によってがん細胞を攻撃するT細胞のがん免疫を誘導し、誘導されたT細胞の攻撃力ががん細胞によって抑えられないように免疫チェックポイント阻害剤を併用するという方法は、「アクセルをかけて、ブレーキを外す」理にかなった戦略であり、相乗効果が期待されます。

併用効果が期待される樹状細胞ワクチン療法と免疫チェックポイント阻害剤

樹状細胞ワクチン療法と免疫チェックポイント阻害剤との併用療法については、抗CTLA4抗体であるトレメリムマブ(2016年5月現在、本邦未承認)と樹状細胞ワクチン療法とを併用したアメリカでの臨床試験の結果が報告されています(Clinical Cancer Research. Vol. 15, No. 19, pp. 6267-6276, Oct. 2009)。この試験の主な目的は、治療法の安全性を確かめることでした。メラノーマ(悪性黒色腫)に罹患した16名にトレメリムマブを投与しながら樹状細胞ワクチン療法を行ったところ、トレメリムマブの投与を毎月ではなく3カ月に1回とすれば大きな副作用は生じないことが示されました。また、治療効果に関するデータは限定的ですが、4名でがん病変が小さくなりました。これら4名は再発せずに28~58カ月以上を過ごしました。この治療法については、有効性についての検証が必要であり、さらなる研究に期待が寄せられます。

海外ではこのほかにも、抗CTLA4抗体や抗PD-1抗体と樹状細胞ワクチン療法とを併用する臨床試験が行われています(表)。免疫チェックポイント阻害剤と樹状細胞ワクチン療法の併用に関する研究は、今後日本でも増えていくものと予想されます。

表 海外で実施中の臨床試験の例(2016年5月現在)
試験登録番号 がんの種類 併用する治療法 終了(予定)時期
NCT02529072 再発脳腫瘍(神経膠腫、星細胞腫、膠芽腫) 樹状細胞ワクチン療法
ニボルマブ
2019年8月
NCT01302496 ステージIIIまたはステージIVのメラノーマ(悪性黒色腫) 樹状細胞ワクチン療法
イピリムマブ
不明
(2013年10月に被験者の追跡は終了、2015年12月の時点でデータ解析中)
NCT02678741 NCT02678741 転移性メラノーマ(悪性黒色腫) 樹状細胞ワクチン療法
標準治療の免疫チェックポイント阻害剤
2019年2月

主な参考資料

  • 「医学のあゆみ」Vol. 256, No. 7, Feb. 2016
  • Clinical Cancer Research. Vol. 15, No. 19, pp. 6267-6276, Oct. 2009
  • Frontiers in Immunology. Vol. 6, Article 271, Jun. 2015
  • ClinicalTrials.gov
    https://clinicaltrials.gov/ct2/home

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