皮膚

悪性黒色腫(メラノーマ)とは

メラノーマとは

メラノーマは、皮膚の色と関係するメラニン色素を作る皮膚の細胞(メラノサイト)、または母斑細胞と呼ばれるほくろの細胞が悪性化したものです。皮膚がんのなかでは、基底細胞がん、有棘細胞がんに次いで多く見られます。ただし、日本人でメラノーマになる人の割合は、欧米人に比べて明らかに低いことが分かっています。

原因

メラノーマの発生には、遺伝的な背景と環境因子の両者が重要な役割を果たしています。遺伝的な背景とは、メラノーマの家族歴、肌のタイプ、そばかすの密度、皮膚・眼・毛髪の色など。環境因子としては、小児期の強い日焼けが関係するといわれています。しかし、紫外線に繰り返しさらされることがメラノーマの危険性を高めるという証拠は得られていません。このため、日焼け止め剤の使用がメラノーマの予防に役立つという確証もないとされています。

症状

濃い黒色で一部色が淡いところがある色素斑(シミ)が大きくなってきます。一部が硬くなったり、周辺がギザギザになったり、色素の浸み出しが見られることもあります。爪にできた場合は爪に黒褐色の縦のスジが現れます。

年齢、性別、部位、病型

日本皮膚悪性腫瘍学会が2005~2013年度に行った全国的な調査(約3,000例を集計)によると、平均年齢は63.6歳で、72.6歳の基底細胞がん、77.8歳の有棘細胞がんに比べると若く、性別は有棘細胞がんや基底細胞がんと異なり、女性にやや多い。発生部位は、足が33%で最も多く、以下、体幹(胴体部分)15%、顔などの頭頸部14%などでした(図1)。病型は、足の裏、手のひら、手足の爪に多い末端黒子型が45%と半数近くを占め、以下、ほくろの細胞から発生する表在拡大型が21%、進行が速く、最も悪性度の高い結節型が11%、進行が比較的ゆっくりで治る確率が最も高い悪性黒子型が9%という順でした(図2)。

図1.わが国のメラノーマの発生部位別割合

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(藤澤康弘:皮膚悪性黒色腫の疫学.医学と薬学 72:189-192, 2015)
図2.わが国のメラノーマの病型別割合

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(ALM:末端黒子型、SSM:表在拡大型、NM:結節型、LMM:悪性黒子型)
(藤澤康弘:皮膚悪性黒色腫の疫学.医学と薬学 72:189-192, 2015)

診断

メラノーマという診断を確定するには、腫瘍の一部を切り取って調べる部分生検が必要になりますが、頭頸部に発生したメラノーマでは部分生検により転移が起こり、生存率が低下する危険性があるとされています。特殊な拡大鏡で皮膚を観察するダーモスコピー検査はメラノーマの早期診断に役立つとされています。

治療(表1)

メラノーマは早期に発見し、治療を行うことが大事です。治療の基本は手術です。手術は、周囲への転移の可能性を考え、病期に応じて、腫瘍の端から最大2センチ程度離れたところまで切除します。また、メラノーマは早期にリンパ節転移を起こすことが多いため、最初に転移すると予想されるリンパ節(所属リンパ節)をとって詳しく調べ(センチネルリンパ節生検)、転移がある場合はそのリンパ節の領域を切除する手術(所属リンパ節)を行います。所属リンパ節郭清により予後が改善する可能性があります。所属リンパ節郭清後の放射線療法は再発率を低下させる効果があると考えられています。

メラノーマは進行すると、肺、骨、肝臓、脳など、離れた臓器に転移(遠隔転移)します。遠隔転移が単発である場合には、遠隔転移巣に対する手術が生存期間を延ばす可能性があります。

進行したメラノーマに対しては、抗がん剤のダカルバジンという注射薬が使われることが多いのですが、副作用が強いことが問題とされています。現時点では、ダカルバジンを上回る予後改善効果が得られるような化学療法は存在しないことから、より有効で安全な治療薬の開発が望まれています。最近、進行して手術不可能なメラノーマに対して、患者さん本人の免疫機能を高める抗PD-1抗体と呼ばれる薬(ニボルマブ)が使えるようになり、有効性が期待されています。遠隔転移のある場合の治療として、免疫療法、標的療法といった新規の治療法が試みられていますが、いずれもまだ正式に認められた治療ではなく、臨床試験として行われるものと位置づけられています。

なお、術後に患者さん自身が皮膚の観察を定期的に行うことは、生存率の向上に役立つと考えられていますので、お勧めします。

表1 メラノーマの治療法と現在の評価
治療法 現在の評価
外科手術
  • メラノーマに対する基本となる治療法
  • 病期に応じ腫瘍の端から最大2センチ程度まで切除
  • センチネルリンパ節生検で転移があればリンパ節郭清
  • 遠隔転移巣に対する手術で生存期間を延ばせる可能性
放射線療法
  • 所属リンパ節郭清後の放射線療法は再発率を低下
  • 放射線療法は症状を和らげる目的でも有益
化学療法
  • 副作用が強い
  • より有効で安全な治療薬の開発が望まれている
新規治療法
抗PD-1抗体療法
  • がん細胞が免疫機能を抑制する働きを弱め、患者さん自身のがんを攻撃する機能を高めようとする薬剤で効果が期待されている。

主な参考資料

  • 日本皮膚科学会/日本皮膚悪性腫瘍学会 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン作成委員会編「科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版」金原出版、2015年
  • 藤澤康弘:皮膚悪性黒色腫の疫学.医学と薬学 72:189-192, 2015
  • がん情報サービス/悪性黒色腫(皮膚)
    http://ganjoho.jp/public/cancer/data/melanoma.html
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