脳腫瘍の症状

発生頻度

脳腫瘍は、頭がい骨の内側の脳やそれを包む膜などに、腫瘍と呼ばれる異常な細胞のかたまりが増える病気です。日本国内における原発性脳腫瘍の正確な患者数は明らかではありませんが、良性を含む原発性脳腫瘍の年間発症率は人口10万人当たり10~15人、年間発生数は2万人程度と推測されています。多くはありませんが、珍しい病気でもありません。がん全体に占める脳腫瘍の割合は1%未満です。

脳腫瘍の種類

図 原発性脳腫瘍の種類別割合 (全年齢)

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脳腫瘍は大きく「原発性」と「転移性」に分けられます。原発性脳腫瘍は、脳や脳を包む膜そのものから発生した腫瘍で、脳腫瘍全体の約85%を占めます。子どもから高齢者まで幅広い年齢層で認められます。腫瘍が発生した部位により様々な種類があり、特徴も異なります。最も多いのが神経膠腫(しんけいこうしゅ)や髄膜腫(ずいまくしゅ)、次いで下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)、シュワン細胞腫などです(図)。

一方、転移性脳腫瘍は、他の臓器に発生した悪性腫瘍が、主に血流に乗って血管内を移動し、脳に定着、増殖した腫瘍です。高齢者に多く認められます(表)。

表 脳腫瘍の種類とそれぞれの特徴
脳腫瘍の種類 それぞれの特徴
神経膠腫
  • 原発性脳腫瘍の約4分の1を占める
  • ほとんどが悪性腫瘍だが、種類によって悪性度は様々
  • 悪性度グレード3以上の神経膠腫に対しては術後に放射線療法や化学療法
  • 粒子線治療の有効性が国内外の臨床試験で検討中
  • 分子標的治療薬を用いることも
髄膜腫
  • 原発性脳腫瘍の約4分の1を占める
  • ほとんどが良性腫瘍
  • 初期は症状があまり出ないため、脳ドックで偶然見つかるケースが増加
  • 50~60歳代を中心とする成人に発症、女性が男性より2倍高率
  • 経過観察しながら手術のタイミングを計る場合が少なくない
下垂体腺腫
  • 原発性脳腫瘍の約15%で、成人の発症が多い
  • ほとんどが良性腫瘍だが、腫瘍増大に伴って視野・視力障害が出現
  • ホルモン産生腺腫とホルモン非産生腺腫がほぼ3対2
  • 産生するホルモンの種類により、症状が異なる
  • 有効な薬があるものを除き、手術が基本
シュワン細胞腫
  • 聴神経のシュワン細胞に起こるものがほとんど
  • 三叉神経、顔面神経などで起こることもある
  • 聴神経の場合は耳鳴り、難聴、めまいなどが出現
  • 三叉神経の場合は顔の痛みやしびれが出現
  • 基本的に良性腫瘍であるため、手術で完治も可能
転移性脳腫瘍
  • 脳腫瘍全体の20%近くで認められる
  • 肺がん、乳がん、消化器がんなどの転移が多い
  • 治療法は全身のがんの状態や合併症、体力なども含めて考える
  • 予想生存期間によって治療法を選ぶという考え方がある
  • 治癒が難しいため、良好なQOLの維持を目指すことも重要
子どもの脳腫瘍
  • 子どもでは、白血病などの造血器腫瘍に次いで多い
  • 悪性腫瘍が3分の2を占める
  • 神経膠腫、胚細胞腫、髄芽腫、頭がい咽頭腫、上衣腫などが多い
  • 症状は成人の脳腫瘍と同様だが、うまく伝えられないこともあるので注意
  • 治療も脳の発育に影響するため、成長発育を考慮して治療法を検討する

脳腫瘍のタイプ(良性、悪性)

腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があります。良性腫瘍は増大する速度がゆっくりで、転移や再発を起こすことがほとんどありません。これに対して、「がん」とも呼ばれる悪性腫瘍はどんどん増大して、周囲の組織に潜り込んでいったり、再発したり、他の臓器に転移することが少なくありません。原発性脳腫瘍では良性腫瘍、悪性腫瘍のどちらもありますが、良性腫瘍が3分の2を占めます。

一方、転移性脳腫瘍は、他の臓器で発生した悪性腫瘍が脳に移動してきたものですから、すべて悪性腫瘍です。

脳腫瘍の症状

脳腫瘍では、腫瘍が周囲の神経を刺激することによるけいれん、腫瘍が脳を圧迫することで起こる局所症状、腫瘍増大により頭がい内の圧が高まることによる頭がい内圧亢進症状が見られます。局所症状は腫瘍の部位により、運動麻痺、言葉の障害、記憶障害、食べ物を飲み込みにくい、性格の変化などが現れます。頭がい内圧亢進症状としては頭痛、嘔吐、意識障害、視野・視力障害などが見られます。

検査と治療

頭部のCT検査、MRI検査により、腫瘍の有無、部位、大きさを調べます。脳血管撮影などを追加することもあります。

治療の基本は手術で、状況に応じて放射線療法や化学療法(抗がん剤)を併用します。良性腫瘍は周囲の組織との境目がはっきりしているため、多くの場合、手術で完全に取り除くことが可能です。

しかし、悪性腫瘍は完全に取り除けないことが多く、放射線療法や化学療法が必要になります。抗がん剤は腫瘍の部位によっては脳内に届きにくいため、効果が低くなります。

主な参考資料

  • 小林正伸著(2014年)「やさしい腫瘍学」(南江堂)
  • 篠浦伸禎著(2015年)「脳腫瘍 機能温存のための治療と手術」(主婦の友社)190ページ
  • 渋井壮一郎 BRAIN and NERVE 64(3): 286-290, 2012

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